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世界が注目する日本のテキスタイル。その一翼を担う次世代のデザインが競う「JFW−JC2008テキスタイルコンテスト」の審査結果は以下の通りです。
今回の応募総数(292名/423点)の中から、グランプリ1点、優秀賞2点、新人賞1点、部門賞8点が選ばれました。
テキスタイルコンテスト講評 審査委員長 皆川魔鬼子氏
今回は、 服になることを前提として発想された素材や、 エコロジカルな視点からの作品が多かったのが特徴だと言えます。 また、 昨年から新人賞も加わり、
これまでに比べて学生の応募が多くありました。 新しいタッチの作品も多かったが、今回選出された素材の多くは触感の良いもので、 面白味のある作品であってもごわごわしているものや、
風合いの悪いものは選出されませんでした。 着用するものには着心地を求める、 というのが審査員の共通した認識でした。
日本は技術レベルが高いゆえ、 基本的な触感や感性というものが忘れがちになっているのではないでしょうか。 直接視覚や、 感覚に訴える技法にはプリントがありますが、
絵柄を描く人が少なくなっています。 その中で時代を先取りする絵柄のコミュニケーション提案をしてくれる若い力が増えることで、 売場も楽しくなるし、
またプリント業界も活性化していくのではないでしょうか。
グランプリ
柏原陽子(かしはら・ようこ)さん(多摩美術大学)
作品名 : worm graffiti 素材 : コットン100%
葉っぱの虫食いを観察してみると、 食べている虫が落書きをしているように見えたことから、 グラフィカルなプリントでの表現に結び付いた。
新しい柄に対するニーズは多いが、 結果的に一般的な柄に終わってしまうことが多く、 楽しく描くことが欠落しがちな昨今、 最も説得力を持つプリントに焦点をあて、
プリントの持つパワーを再認識させ、 同時に群を抜いたセンスの良さで、新しい時代に向けての受賞となった。
優秀賞
浅井徹也(あさい・てつや)さん
(高橋ニット株式会社)
作品名 : 輪になって踊ろう 素材 : ウール100%
運動会で子供が手をつないでいる楽しい情景から、 編地が輪状に横につながっていくという技法を発想。 横編機を用い、 裏目の中針を表目にもってきて、
横に移動させまた裏目に戻し、 針目があいた部分はインターロックで閉じるという複雑な技法で輪になって踊るイメージを表現している。 その不思議な存在感から、
審査員の注目を集め高評価を得た。
優秀賞
森益一(もり・ますくに)さん
(森技術士事務所)
作品名 : Japanese KANSEI(感性) 素材 : ウール100%
羊毛の優れた特性をイメージチェンジ。 羊毛でありながら全く麻のタッチに仕上げた。 新しい特許技術を開発し、 環境対応仕上げ剤で毛羽を取り麻化させたという。
染色も天然ミロバラの草木染めで日本らしい感性表現、 ということではあるが、 少し和服の色になってしまったのは惜しい。
新人賞
谷敷謙(やしき・けん)さん
(杉野服飾大学)
作品名 : ファニーファニーゴーストー
素材 : コットン100%、発泡スチロール
学生の作品にも視点をあて、 今後の試みへの期待を込めて新人賞に選出。 キャラクターデザインの発想と、 学生にしかできない時間をかけた作業で、
Tシャツとタオルを用いたリサイクルの提案。 今回の応募作品の中でも特に目立ち、 アイキャッチャーとしての商品も必要という意味も含め、 若々しさからの選出となった。
テキスタイル部門賞
・ テクノロジー部門 : 江原 典子さん(東レ株式会社)
・ ニュー フィニッシング部門 : 佐藤 功さん(墨田革漉工業株式会社)
・ ニュー タッチ部門 : 北島 信義さん(群馬県繊維工業試験場)
・ アーティスティック ワーク部門 : 行徳 茜さん(多摩美術大学)
・ トレンド部門 : 上田 善則さん(株式会社丸萬商店)
・ エコロジー部門 : 足立 聖さん(有限会社カナーレ)
・ プリント部門 : 大室 孝さん(テキスタイルデザイナー)
・ ニュー トラディション部門 : 堀 文栄さん(小松精練株式会社)
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