Vol.1 / Vol.2 / Vol.3

ジャパン・クリエーション2007A&Wが、6日より9日まで東京ビッグサイトにて開催されます。最近では、個性的な日本のテキスタイルが欧米デザイナーからも注目を集めており、日本最大のテキスタイル見本市であるJCにも期待が集まっています。
昨年12月にJC改革委員会がJC改革案をまとめ、年2回開催や商談重視の方向性を打ち出し、今回が実質的な改革後初めての開催となります。
今回は、バイヤーのみが入場できるビジネスゾーンと、幅広い人々にアピールするプロモーションゾーンを明確に区分し、落ち着いて商談ができる環境を整備しています。
出展企業数は394社で前年より約3割減少していますが、その分ゆったりとしたブース配置が可能になり、広い商談スペースが確保されています。
個々のブース紹介、商品紹介はブログで常に更新いたしますので、お楽しみに。

JCのブログはこちらから




JCワーキング委員 : 竹内忠男 氏

構築的なスタイルがトレンドのため、形を作れるハリ・コシのある素材が求められるように変化しています。その結果、上質の素材が増えました。ビジュアルで主張するのではなく、外観は控えめでも、触れば違いが分かる素材が増えています。一見するとプレーンで何の変哲もないようでも、高密度素材だったり、獣毛など高級素材を使っていたりします。質の違いが分かる消費者が増えたことも、その背景にあります。
また、秋冬物でも薄地が多く使われるようになりました。透明感や光沢感のトレンドは継続しています。
カジュアルコーナーはデニムが多いですが、これまでのようなハードなダメージド加工は姿を消しました。ワンウォッシュくらいのベーシックなデニムです。ただし、本藍を使っていたり、素材も超長綿やシルク、ウールを使っていたりと、広がりが見られます。デニムで作るアイテムも変化していると推測されます。
ニットがカットソー、横編みともに増加しています。ニットのアイテムは、コートやジャケットなどへも広がっていますので、今後さらに増加が予想されます。ニットの素材もカシミヤやシルクなど、上質素材が増えています。
フォーマル分野は大きな変化が少ない分野ですが、透け感や光沢感のトレンドが、この分野でも見られます。また、ここでも外観は何でもない素材でも、ハリ・コシがあり、手触りの良いものが増えています。
さらに、エコロジーへの関心の高まりを反映し、オーガニックコットンや草木染めが増えたのも特徴です。一昨年あたりから、世界の中での自分らしさを求めて、日本への視点が見られるようになったのも新たな傾向といえます。紙繊維や草木染め、和柄が増えました。したがって、伝統工芸の企業も素材がファッション雑貨などに使われる可能性が高まっています。

講師:展覧会ディレクター 原研哉 氏
東京発信で日本素材を世界にアピール

 私の専門はコミュニケーションで、肩書きはグラフィックデザイナーです。グラフィックデザイナーというとポスターを作るのかと思われるでしょう。人々の関心を集めるためにはポスターを作るのも一つの方法ですが、いまや街中からポスターをなくすのも一つのやり方かもしれませんね。
 さて、私は今回、日本の繊維産業の持つ可能性に、世界が注目するように仕掛けることで相談を受けました。そこで来年4月下旬に青山スパイラルガーデン&ホールでJCサテライト展「TOKYO FIBER‘07」を開催する計画です。同展の最終的なゴールは欧米のアパレルメーカーに、日本のテキスタイルに関心を持ってもらい、購入してもらうことです。しかし、欧州が作り出すファッションの仕組みに乗るだけでは、日本発信で関心を持ってもらうことは難しい。
 パリでプルミエール・ヴィジョン(PV)という国際的なテキスタイル展が開催されています。日本企業も出展しています。同展はトレンドセッターとして有名です。トレンドは自然発生的にできるのだと思っていましたが、実は作り出しているんですね。トレンドユニオン代表のリ・エデルクルトさんのような優れた感性の人が、世界の動きを察知して流行という芝居を書く。PVは非常に効果的に、このトレンドを世界へ発信する仕組みを構築しているわけです。PVに出展するのも日本素材を世界へ打ち出す一つの方法ですが、それではフランスを頂点とするトレンド発信の仕組みの強化にしかならない。既存のファッションでは、いつまでもパリに行かないと発信できない。
 世界の高感度な人々に東京発信で注目させるためには、既存のファッションではない、別の切り口で情報発信していく必要がある。日本が得意とする技術、ハイテク繊維を活用し、人間の感覚に寄り添うような「テクノロジー」を切り口に、新たに東京から発信することで、実現したいと考えました。私の造語ですが、「SENSE WARE(センスウエア)」が第1回展のテーマです。ハードウエアやソフトウエアのウエアで、「感覚モノ」とでも言いますか。人間の感性を刺激して、やる気を起こさせるものです。
 日本のトップクラスのクリエイター、さらにソニーやパナソニックなどやトップ企業のデザイナーグループに依頼して作品を制作し、展示します。当初使う素材は合繊ですが、他の素材も今後活用していきます。発信の場として認知度が高まれば、メーカーがここを新素材の発表の場として活用してくれるようになるでしょう。そして世界の日本素材への関心を高めたい考えです。



 

 

中国服装設計師協会 JCに来場

右から湯さん、蘇さん、馮さん 日本繊維輸入組合と日本繊維輸出組合の招待で来日している中国のデザイナー協会の皆さんが6日、JC会場に来られました。さっそく、JCや日本製テキスタイルへの印象を伺いましたので以下、紹介します。 中国服装設計師協会 副主席 蘇葆燕さん  JCに出展されている素材はどれも洗練されていて、創造性に富んでいます。日本製テキスタイルは機能性に優れ、品質が安定しているほか、細部までこだわって作っているのが特徴だと思います。機能面では日本素材が一番いい。流行という面では欧州製が1位で、日本品は2位、続いて韓国、最後が中国品です。中国では、中級品以上には欧州素材か日本品を使います。細部までこだわるブランドは日本素材が向いていますし、ファッション性重視で、品質面にはあまりこだわらない場合は欧州素材や国産を使用すると思います。高級ゾーンのブランドが中国素材を使う場合は、シルクやカシミヤなどですね。 虎門服装技術創新中心 ディレクター 馮?さん  思いがけない素材が多く、感銘を受けました。テキスタイルコンテストのグランプリ受賞作は、シルクに漆を組み合わせて作っています。通常は考えられない素材を組み合わせているのが新鮮ですし、日本文化を盛り込んでいることも高く評価できます。また、会場は2つのゾーンに別れていますので、商談が目的で来場したバイヤーは落ち着いて商談できるし、情報収集が目的の来場者はプロモーションゾーンを見ればいい。目的に応じて使い分けているのは、良いと思いました。 広東省服装設計師協会 常務副会長 湯敏義さん  テキスタイルデザインは通常、学生やフリーの場合は卓越した発想があっても実用的でない傾向があり、企業内デザイナーは実用的だが創造性に欠ける傾向が見られがちです。ところが、JCのテキスタイルコンテストを拝見すると、クリエイティブ性と実用性を上手く融合させています。このことが最も印象的でした。また、日本製テキスタイルは高価ですが、品質の安定性などから考えると、むしろ割安感があると思います。

 
 

主賓あいさつ
経済産業省製造産業局繊維課繊維企画官 松尾 武志氏

第11回の開催おめでとうございます。
伝統を重視しながらも、変化できるのが日本人の良いところだと思います。
消費者やバイヤーの変化を察知し、また意見を聞きながら、出展者の方々も、このJCを有効に使ってほしいと思います。

 
 

主催者あいさつ
ジャパンクリエーション実行委員長 貝原 良治氏

JCは本年より、これまでのプレビュー展を統合しての年2回開催となり、また第11回目を迎える今回はビジネスゾーン・プロモーションゾーンに分けてのコーナー展開を行うなど変化してきました。
時代の変化と共にJCも変わっていかなければならないことを肌身で感じています。
日本国内だけでなく、世界に向けて発展させていける展示会にすべく、今後も変化させていきたいと思っています。

 

JAPAN CREATION 2007A/W 来場者数

 

1日目

2日目

3日目

合計

アパレル

2,825 - - -

小売

643 - - -

問屋・商社・企画会社

3,478 - - -

一般

4,074 - - -

プレス

76 - - -

海外

35 - - -

特別ご招待

1,424 - - -
合計

12,555

-

-

-

PAGE TOP