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INDEX[1]Premium Textile Japan 2020 Sprng/Summer-


INDEX[1]Premium Textile Japan 2020 Spring/Summer

   開催レポート - Part 2 -


5月21日~22日に東京国際フォーラムにて開催されましたPTJ2020SS開催レポートのPart 2をお届けします。



photo_Premium Textile Japan 2020 Spring/Summer開催レポート - Part 2 -


日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催の「Premium Textile Japan (PTJ)2020Spring/Summer」が5月21日~22日の会期を終えて無事閉幕いたしました。今回の海外出展者は10社。サスティナビリティ(持続可能性)を意識した展示内容を提案しました。また、「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう!~」も開かれ、福島県の川俣産地、静岡県の遠州産地が紹介されました。



 

[会  期]

2019年5月21日(火)~22日(水)(10:00~18:30/18:00)

 

[会  場]

東京国際フォーラム ホールE-1

 

[主  催]

一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構

JFWテキスタイル事業運営委員会

 

[出展者数]

94件123.1小間(内 海外出展10社)

 

[来場者数]

5,911名(前年5,987名)




Part.2

 

・出展者の声 ~海外出展者~
・「Textile Workshop 日本の素材を学ぼう!」シルク(川俣産地)/コットン(遠州産地)
・今後の海外出展について


Part.1   (配信済み  ⇒記事ページへ

 

・出展者の声 ~サスティナブル商材提案~

・来場者の声 ~エコ素材をもっと訴求して~






■海外出展者の声 ~エコと洗えるを訴求~

韓国のユニコン社はPTJ出展の常連組に入ります。今回は肉厚のシルク綿、ストレッチ性のあるシルクウールを提案したほか、薄地の洗えるシルクウール、ジャージーの洗えるシルクを訴求しました。ウール89%・シルク11%のシルクウールは「洗える機能を持たせるのに3年ほど開発に時間を要した」というもので、ハンドウオッシュできます。ジャージーの洗えるシルクも「縦方向に伸びにくいため、カットしやすい。イタリアで売れたので、日本でも販売していきたい」と話していました。

同じ韓国のSFT社は化合繊のプリント生地を主体に提案。「自社でデザイン柄をおこすオリジナル性、企画からデリバリーまで責任を持って対応する」のが強みです。韓国の協力工場で生産しますが、インドネシアやベトナムでの生産も開始し、「量販店から専門店まで徐々に取引先が広がっている」ようです。トリコットのシャツ地「ドリッチ」のほか、織物調のトリコットは、薄く、軽く、シワになりにくいと、アウター用途に展開。エコ関連ではリサイクルポリエステルのほか、ポリエステルの重合段階でレンギョウ(モクセイ科植物)オイルを入れて抗菌、UVケア、吸水速乾機能を持たせた「ジュラシール」も打ち出しました。初出展のGBテキスタイル社は、韓国で化合繊の製織から染色まで行っています。欧米輸出が中心だったため、エコ関連ではリサイクルポリエステル生地も提案しました。



photo_Premium Textile Japan 2020 Spring/Summer 開催レポート - Part 2 -


中国のHARBIN HUAREN LINEN TEXTILESも初出展です。リネン中心に生産し、バングラデシュで縫製工場を建設しています。麻100%でシワになりにくい生地は、紡績、製織、加工で実現。WW性は3級です。J VIEW FASHION社もリネン、リネンコットン、シルクを出品。ブースではリネン繊維の鑑定評価も説明していました。BINZHOU YUYI TEXTILE SCIENCE & TECHNOLOGYはエコテックススタンダード100の認証を取得、繊維製品の安全性を示すホワイトリストにも登録。ホームテキスタイルが中心でしたが、5年前からイタリアのデザイナーを採用、アパレル向け生地に取り組んでいます。

トルコのCALIK DENIMはPTJ出展常連組で、「継続出展で認知されてきた」と話していました。今回は5.5オンスの「フライジーン」を提案。コットン76%/「T400」が24%で、ストレッチ性よく、米国のメディカルユニフォームにも同素材が採用されています。「ひざ抜けしないので、ユニフォーム分野でも評価」です。





■「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう!~」
    産地の歴史と思いを伝える


関連プログラムの「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう!~」の第2部では、21日に齋栄織物常務の齋藤栄太氏による「川俣産地/シルク」、22日は古橋織布の営業担当西井佳織理氏による「遠州産地/コットン」の講演が行われました。これはPTJ出展の産地企業人を講師に招き、寺子屋風に素材や産地への理解を深めてもらうのが目的。繊維業界人となって間もないアパレル・服飾雑貨メーカー、小売り、デザイナーメゾンなどの若手社員(職歴5年未満)を対象にしています。今回の講師は2人とも産地の若手で、参加者は親近感がわいたようです。



< 構成 >

 

第1部

基礎講座「日本の素材産地とは」「繊維素材の基礎知識Vol.1、2」

   【講師】JFWテキスタイルコーディネーターの井上 佐知子 氏/久山 真弓 氏
 

第2部

「産地レクチャー」

 

21日

〔川俣産地/シルク〕

   【講師】齋栄織物株式会社 常務取締役 齋藤 栄太 氏

 

22日

〔遠州産地/コットン〕

   【講師】古橋織布有限会社 営業 西井 佳織理 氏

 

第3部

「テキスタイル合同展示会 来場のノウハウ/Q&A」
   【講師】JFWテキスタイル事業コーディネーター 兼巻 豪 氏



□「日本の素材産地とは」 繊維素材の基礎知識Vol.1も


今回の基礎講座は、「繊維素材の基礎知識Vol.1」を加えました。素材産地の概要を説明する前に、まず代表的な素材の「繊維の分類」から説明するという試みです。繊維を天然繊維と化学繊維に分類し、天然繊維には植物繊維、動物繊維、鉱物繊維があり、綿は植物繊維、シルクは動物繊維に当たるといった内容です。

22の繊維産地の概略紹介では、福島の川俣産地が、絹の白生地を小幅、広幅で生産し、和装、洋装、ウエディングドレス、スカーフなどに向けていると説明。生地値は1m=1000~2000円で、小ロットのアップチャージは500~1000円。納期は45~90日です。遠州産地は綿織物中心ですが、複合織物や別珍、コール天も生産します。生地値は500~2000円で、ロットは4反(200m)から、アップチャージは500円ほど。納期は40~60日です。

夏の定番素材麻は、湖東産地で生産。琵琶湖の恩恵による多湿気候が近江上布、近江ちぢみを生みました。バルク生地で1000~1500円。アップチャージは900~1300円で、納期は45~75日といった紹介を行いました。




□「産地レクチャー 川俣産地/シルク」 複眼的な視野を持とう


photo_Premium Textile Japan 2020 Spring/Summer 開催レポート - Part 2 -

21日に登壇した齋栄織物の齋藤栄太常務は「川俣(福島県)の養蚕・絹織物は、今から約1400年前に始まる。崇峻天皇の妃であった小手姫が、蘇我馬子に故郷大和を追われた皇子を探し求めて川俣にたどり着き、桑を植え養蚕を行い、糸を紡ぎ、機織りの技術を伝えたことによる」と歴史を紹介。強固な屏風のように左右に連なる奥羽山脈が、桑の育成にも適したようです。

江戸時代には川俣で定期的な生糸・羽二重の二七市が立ち、川俣周辺で生産された生糸を仕入、織物にして販売しました。明治に軽目羽二重の開発に成功して発展しましたが、「平成元年をピークに海外からの安価な輸入製品増などで240社あった産地企業は21社に」減りました。企業はそれぞれ和装、ハンカチ、提灯の生地、アパレル売りなど棲み分けし、バッティングはあまりないようです。

同社は世界一薄い絹織物「フェアリー・フェザー」で知られます。これは髪の毛の6分の1という細い糸を使い、軽目羽二重の技術を生かして開発。「第4回ものづくり日本大賞最優秀賞内閣総理大臣賞」も受賞しました。

現在は、「異業種などとの連携に注力」しています。県内企業と福島発のブランドを立ち上げ、糸に電気を流して極微小荷電液滴で糸染めするエレクトロスプレー法による次世代染色機の開発、IPS細胞の増殖用生地などに取り組んでいます。「一つの素材もいろんな角度から見ることで、工業やメディカル用途にも使える。何でも複眼的視点で見ることが重要」と語りました。


photo_Premium Textile Japan 2020 Spring/Summer  開催レポート - Part 2 -


●参加者は

「いろんな産地があり、それぞれの特色をわかりやすく教えてもらった」「ワークショップには初めて参加したが、初心に返った。いろんな繊維を学んでいきたい」「シルクが衣料品だけでなく、IPS細胞関連などにも使われていることには驚いた」「新しい染色法などを知ることができた」といった、コメントがありました。


●齋藤常務は
「単独での開発には限界がある。産地だけでは解決できない問題も、異業種などと連携することで解決の可能性が生まれ、世界が広がっていくと考える。衣料品以外の分野にも挑戦している。商売が決まるまでは時間が掛かるが、決まれば工場の稼働も楽になる。とはいえ、そうした顧客を探していくことも簡単ではない」と、講演後に語っておられました。





□「産地レクチャー 遠州産地/コットン」 産地振興で協議会を設立


photo_Premium Textile Japan 2020 Spring/Summer  開催レポート - Part 2 -

ワークショップ2日目は、古橋織布で営業を担当する西井佳織理氏が「遠州産地/コットン」を講演しました。

「産地の歴史は江戸時代にさかのぼります」と、西井さんは始めました。遠州産地は江戸時代に泉州、三河と並ぶ3大綿織物産地になりました。長い日照時間、温暖な気候、豊富な水を背景に、農家の副業として生産がスタートしました。明治にはトヨタ、スズキといった自動車メーカーの創始者が織機を開発した話題にも触れました。その後、10社以上の大手紡績が産地に進出しましたが、1972年をピークにして輸入圧力で規模を縮小していきます。浜松市の工業出荷額のうち、1935年に7割近くを占めていた繊維製品は、今や3%を切っています。

「細幅から小幅、広幅織物、別珍、コール天まで遠州産地の生地は多種多様。各織物メーカーが独自に技術改良を重ねた結果、ここにしかないオンリーワンのモノ作りにこだわる職人が集まるユニークな産地になった」。しかし、「浜松では繊維を知らない若い世代も増えた。技術力の継承問題もある。このため、昨年から“産地の学校”が開講。今年は遠州産地振興協議会を設立して、遠州織物の魅力を知ってもらう冊子も作った」と、最近の取り組みを話されました。

古橋織布は1928年創業で3代続いています。現社長の古橋敏明氏の代から、賃織りを縮小し、自販に転換。スタッフは8人で、うち6人が20~30代の若手。低速のシャトル織機を使い、従来の生地より5~10%高密度ですが、ふっくらとした風合いの生地となり、ミラノ・ウニカでもラグジュアリーブランドが購入します。西井さんは古橋社長の娘さんですが、海外展では英語で商談しています。


photo_Premium Textile Japan 2020 Spring/Summer  開催レポート - Part 2 -


●参加者は

「産地の歴史はネットでもわからない。大変勉強になり、興味もわいた。産地にはなかなか行けないので、今後もいろんな産地の歴史をシリーズ化してほしい」「生地についての基本がわかった」「配布された遠州産地の冊子は写真も豊富で、読みやすい。企業のこともよくわかる」「会社の方向性がわかった。講師が若い人だと親近感がわく」と、感想を述べました。


●西井さんは
「会社に来られた学生さんに、説明した経験はありましたが、こうした会場で20人ほどを前にして話すのは初めてでした。少し、緊張しました」と、講演後に話していました。海外で同社素材が人気となる一方で、産地は高齢化や後継者問題、県外への人口流動などの問題を抱えています。遠州産地振興協議会の今後の活動に期待したいところです。






INDEX[2]Next JFWテキスタイル事業 今後のスケジュール

【海外展】 <Japan Pavilion>

ジャパン・パビリオンは、各展示会場内のベストロケーションに日本の企業を集積し、日本のテキスタイルトレンドを発信するとともに、日本の優れた企業が集結し、ジャパン・クオリティーをプロモーションします。


「Milano Unica(MU)2020AW」はイタリア・ミラノのロー・フィエラミラノで7月9~11日に開催されます。JFW、日本貿易振興機構(ジェトロ)主催の「The Japan Observatory at Milano Unica 2020AW」も出展します。前年の秋冬展は27社・団体でしたが、今回は30社・団体に増えました。新規出展はショーワ、東播染工、豊島、中外国島、織工房風美舎の5社。出展規模も前年(432平方m)を上回る482平方mに拡大します。

中国・上海の中国国家会展中心では9月25~27日に、「インターテキスタイル上海(アパレルファブリック)Autumn Edition2019」が開催。同会場にジャパン・パビリオンとして27社が参加する予定です。昨年から国慶節前の9月開催に変わり、世界的に秋冬シーズンのソーシングが早まっています。


photo_ジャパン・パビリオン


The Japan Observatory at Milano Unica 2020AW


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会期:2019年7月9日(火)~11日(木)
会場:Rho Fieramilano

開催概要 >>>


Intertextile Shanghai Apparel Fabrics

Japan Pavilion 2019 Autumn Edition


photo_logo_JAPAN PAVILION

会期:2019年9月25日(水)~27日(金)
会場:中国 国家会展中心(上海)

 



【国内展】

Premium Textile Japan 2020 Autumn/Wineter
JFW JAPAN CREATION 2020


photo_logo_PTJ

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“同時開催”

 

会 期

2019年11月19日(火)~20日(水)

 

会 場

東京国際フォーラム ホールE

 

※出展エントリー受付は締め切りました




 

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