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INDEX[1] Premium Textile Japan 2023 Spring/Summer 開催レポート:Part 2

5月25日~26日に東京国際フォーラムで開催されましたPTJ2023SSの開催レポートPart2をお届けします。



日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催の「Premium Textile Japan 2023Spring/Summer(PTJ2023SS)」が5月26日に閉幕いたしました。会場には多くの来場者が詰めかけ、商談もコロナ前に戻っていくかのようでした。また、「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう~」は「サステナビリティ(持続可能性)」をテーマにした最終回として、「廃棄食材を活用したフードテキスタイルについて」(豊島)、「合成繊維におけるサステナブルと自社の取り組みについて」(東レ)の講演を行いました。



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[会 期] 2022年5月25日(水)~26日(木)(10:00~18:00)

[会 場] 東京国際フォーラム ホールE-1

[主 催] 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)

[出展者数] 71件92.5小間(内 海外出展3社)

[来場者数] 4,745名(2021年5月展4,132名)



PTJ2023SSの開催レポートを2回に分けてお届けします。

Part 2

 ・来場者の声

 ・「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう!~」

Part 1(配信済み >>> 記事ページへ

 ・出展者の声



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INDEX[2] 上向く気配を感じた 出展者の声


「春らしい華やかな素材が多かった」(アパレル)。PTJ2023SSは、コロナ後を見据えた出展者たちの意識的に明るさを呼び込むような素材提案が、来場者へと直接届いたようでした。「春らしいレースも多く、メーカーの素材で勝負という意気込みを感じた。プリントの柄も本格的なものだった」(アパレル)、「プリントや刺繍などいろんなジャンルの素材があり、見ごたえがあった」(商社)、「出展者のブースにあいさつに来たが、ほしい素材も見つけられた」(商社)、「ブランドを立ち上げたので、新しい素材を見ようと初めて来た。セクションごとに分かれており、見やすかった」(デザイナー)といった声もありました。来場者の感想はコロナ前に近づいてきました。


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とはいえ、コロナ禍の影響は出展規模に残っています。長年PTJを見に来られている常連の来場者は「出展者がコロナ前に比べて少ない」「コロナの影響だろうが、規模がやや小さくなったことは否めない」とコメント。それでも「例年よりブースが減った感じはあるが、見たいものはあった」(商社)、「反射材メーカーといった新しい出展者もあって面白かった」(商社)ようです。


また、「規模は小さい印象だが、エコ素材が多かった。サステナブル関連はまだまだ注目されると思う」(商社)という声も。展示会全体を通したサステナブル訴求に関心を示す来場者は多く、「情報収集に来たが、サステナブル素材を扱わないといけないと思った」(アパレル)方もおられました。「サステナブル素材はあったが、より深いことを知りたかった」というバイヤーの声も一部にあり、満足度を高めるためにはより専門的で多様な視点での提案が必要かもしれません。


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INDEX[3] サステナビリティを考える Textile Workshop~日本の素材を学ぼう~


関連プログラムの「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう~」は、繊維業界人となって間もない(職歴5年未満)アパレル・服飾雑貨メーカー、小売り、デザイナーメゾンなどの商品企画従事者を対象に、日本製素材や産地への認識などを深めてもらうのが目的です。3回目となる今回で「サステナビリティ」のテーマは完了となります。「PTJ出展者へのサステナビリティへの取り組み」アンケート結果なども報告しました。



□構成

第1部 基礎講座
「繊維素材におけるサステナブル入門」とサステナビリティアンケート結果報告
第2部 「サステナブル関連レクチャー」
25日〔廃棄食材を活用したフードテキスタイルについて〕
26日〔合成繊維におけるサステナブルと自社の取り組みについて〕
第3部 「テキスタイル合同展示会 来場のノウハウ/Q&A」
 【講師】JFWテキスタイル事業コーディネーター 兼巻 豪 氏


□第1部 「繊維素材におけるサステナブル入門」


71社中67社が取り組む

  【講師】JFWテキスタイルコーディネーター 久山 真弓 氏

JFWテキスタイルコーディネーター久山 真弓 氏

今回の基礎講座では、日本の主な繊維産地の紹介だけでなく、サステナビリティ関連情報として、25日に「バイオベース繊維とは何か」「環境配慮型素材・再生繊維のサステナブルについて」、26日には「環境に配慮した染色・後加工について」を解説しました。

また、PTJ出展企業71社にサステナビリティへの取り組みについて事前アンケート調査を行いました。その結果、サステナビリティについて何らかの取り組みを行っている企業は71社中、67社でした。原料分類からみると、オーガニック原料を扱う企業は47社で、コットン(45社)、リネン(12社)、ウール(8社)、シルク(6社)という内容です。リサイクル素材を扱うのは48社。ポリエステルが最も多く42社、以下ナイロン(20社)、コットン(13社)、ウール(9社)と続きます。バイオベース原料は45社が扱い、キュプラ(32社)、テンセル(28社)、リヨセル(22社)、モダール(19社)でした。 生産工程については41社が取り組んでいました。水削減(27社)、エネルギー削減(24社)、CO2排出削減(19社)、染料補助剤削減(16社)、自然染料使用(14社)です。そのほか、何らかの認証取得企業は34社ありました。


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□第2部 25日「サステナブル関連レクチャー」


廃棄予定食材を染料に

  【講師】豊島株式会社 八部七課 谷村 佳宏 氏

豊島株式会社 八部七課 谷村 佳宏 氏

豊島は持続可能なライフスタイル提案企業としてさまざまなサステナブル素材を提供しています。同社の谷村佳宏氏が「廃棄食材を活用したフードテキスタイル」について講演されました。


「フードテキスタイル」は、ファッション業界から食品廃棄物問題を考え、特殊な技術で廃棄予定の食材を染料として再活用するサステナブルなプロジェクトブランドです。日本全国の食品メーカーや飲食店、農園から規格外や切れ端など廃棄予定の食材を買い取り、独自の技術で染料に変え、糸や生地を染めて新しい価値に生まれ変わらせます。

このフードテキスタイルには三つの特長があります。まず、日本ならではの特殊技術として、国内だけでなく数カ国で染料組成物とそれを用いた染色物の製造方法の特許を取得しました。管理面にもノウハウがあるため、生産は日本で行っています。

二つ目は天然染料を90%以上使用し、化学染料は10%未満に抑えて環境にやさしい染色にしたことです。また、加工した生地は全て染色堅牢度の試験をクリアしています。三つ目は食品企業の高水準の安全管理がなされた食材を使用しており、安心・安全な原料であることです。大切な食材を捨てることなく再活用しました。

生産プロセスではコーヒー、野菜、フルーツなどの廃棄予定の食材を回収し、食材ごとに成分を抽出しました。この成分を元にして染料にします。一つの食材から複数のカラーを得られ、現在保有するカラーは50食品500色を超えました。この染料を使って、綿、糸、生地、製品に染色します。対象となる素材もコットン、ウール、リネン、テンセル、ポリエステル、ナイロンとさまざまです。



参加者は


「以前からフードテキスタイルに興味があり、今回直接話を聞く機会を得た。サンプルもみることができた」、「自社でもフードテキスタイルに取り組んでいるが、参考になった」と、セミナー参加以前からフードテキスタイルの存在を知っていた受講者がおられました。中には、「話は聞いていたが、素材の仕入れはどうしたらいいのか、知りたかった」といった具体的商談を希望される方もおられました。

「時代はサステナブルの方向にあり、ポリエステルも再生ポリエステルに置き換えている。フードテキスタイルと機能性繊維の組み合わせはできないのだろうか」、「染色加工というと工業製品のイメージがあったが、時代は天然染料にかじを切ったように感じた」というコメントもありました。



講演を終えて、谷村氏は


業界の異なる方も来られており、いろんな分野の人にフードテキスタイルをアピールできた。より詳しい内容やサンプルなどはブースで見ていただきたい。フードテキスタイルもそうだが、当社はボトムアップ、現場からいろんなアイデアが生まれてビジネスを進めている。企業とのコラボ例も紹介したが、今は食材メーカーから廃棄食材を提供したいというメールが多く寄せられようになった。利用者も雑貨関係は以前から多かったが、最近はインテリア関係の企業も増えている。


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□第2部 26日「サステナブル関連レクチャー」



グリーンイノベーション推進

  【講師】東レ株式会社 新流通開拓室 横川 美都 氏

東レ株式会社 新流通開拓室 横川 美都 氏

東レは総合化学企業としてさまざまな素材を提供しており、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決に貢献するグリーンイノベーション事業も推進しています。ワークショップ2日目(26日)は、東レの横川美都氏が、「合成繊維におけるサステナブルと自社の取り組みについて」をテーマにレクチャーされました。


ナイロン、ポリエステル、アクリルの3大合成繊維すべてを国内工場で生産するのは東レのみです。創業以来、自らを「社会の公器」と任じてきました。2018年7月には「東レ サステナビリティ・ビジョン」を策定し、4つの取り組みを設定しました。気候変動対策、持続可能な資源の利用、水と空気をきれいに保つ、医療の充実と公衆衛生の普及促進の4つです。

この4つの取り組みを実現するために、「グリーンイノベーション」プロジェクトを進め、8つの環境テーマを設定しました。省エネルギー、新エネルギー、水処理、空気浄化、環境低付加、プロセス革新。そして今回のバイオ由来とリサイクルです。

当社の再生型リサイクルテキスタイルは工場内で発生した屑回収によるものと、回収ペットボトルによるものがあります。また、部分植物由来テキスタイルもあります。このうち「アンドプラス」は回収ペットボトルを原料に、選別・粉砕・洗浄してペレットにし、溶融・紡糸して糸・綿、繊維製品にしたブランドです。

日本は「洗ってから捨てる」と「ごみは資源」という意識が浸透しているため、ペットボトルの回収率は高く、透明ボトルのみが流通しています。このため、不純物がすくなく、白度が高いという特徴があります。また、当社は特定の事業者が回収したペットボトルと自治体が回収したペットボトルを使用することで、原料のトレーサビリティも明確です。さらに、独自の識別システムを構築し、東レ製のリサイクル繊維であることが検知可能、証明書も発行できます。

自治体との取り組みでは、2010年から東京マラソンのEXPO袋に「エコディアPLA」などが採用されましたが、2022年からは給水所でペットボトルを回収し、アンドプラスにリサイクルする試みを開始しました。東京マラソン2024のボランティアウエアになる予定です。



参加者は


「3年前と比べ、日本でもサステナブルへの注目度が高まったと思う」とは、聴講した参加者のコメント。以前からサステナビリティに興味も持たれていたようです。「ポリ乳酸繊維(PLA)に関心があったので参加」、「東レの環境への取り組みに興味があった。今回のセミナーでサステナブルへの具体的な取り組みを知ることができた」と、企業活動にも注目が集まっています。さらに「サステナブルにどういうところから取り組むべきか、考えさせられた」といった感想もありました。



講演を終えて、横川さんは


話したいことはたくさんあったが、できるだけ焦点を絞ろうと思い、「アンドプラス」の話を中心にした。実際の素材を触って確かめてもらうためサンプルも用意した。

生地がサステナブルならいいというものではない。服をお買い上げいただいても、それが着られないまま捨てられたら、サステナブルではない。長く愛用してもらうことが重要である。材料を作るのが私たちなら、それを調理する人がいて、できたものを手にする消費者がいる。サステナブル素材の使用は入り口にすぎない。今後は生産プロセスを伝えていくことも重要と考える。


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INDEX[4] JFWテキスタイル事業 今後のスケジュール Premium Textile Japan 2023 Autumn/Winter JFW JAPAN CREATION 2023

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新型コロナウイルス感染症予防に関しまして、開催に向けて、行政機関などから情報収集を行い、最大の配慮をしながら、できる限りの感染症予防対策を講じてまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。



2022年11月:同時開催

会 期

2022年11月1日(火)・2日(水) 10:00~18:00

会 場

東京国際フォーラム ホールE

主 催

一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構


※出展エントリー受付は締め切りました。







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