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![]() 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催の「Premium Textile Japan 2023Spring/Summer(PTJ2023SS)」が5月25~26日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラム ホールE-1で開かれました。新型コロナウイルス感染防止対策を講じながら、今回は71件・92.5小間(前年5月展71件・94小間)の規模での開催となりました。 国内最大のテキスタイル商談会として今回も「JFWサステナブル・プロジェクト」と「JFWテキスタイル・オンラインサロン」(JTO)を前面に打ち出しました。来場者数は4745人と、2021年5月展に比べて約15%増加しており、コロナ前(19年5月展5911人)の水準へと戻りつつあります。繊維業界は原材料等のコストアップや衣料消費の回復遅れなどの諸課題がありますが、会場では内容の濃い商談を進めることができました。 ![]() [会 期] 2022年5月25日(水)~26日(木)(10:00~18:00) [会 場] 東京国際フォーラム ホールE-1 [主 催] 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW) [出展者数] 71件92.5小間(内 海外出展3社) [来場者数] 4,745名(2021年5月展4,132名) PTJ2023SSの開催レポートを2回に分けてお届けします。 Part 1 ・出展者の声 Part 2 (次回配信) ・来場者の声 ・「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう!~」 ![]() ![]() 今回は「織物短繊維」「染色・後加工、プリント、刺繍・レース」の2つのゾーンで会場の半分以上を占めました。この中でモエランスタジオはPTJ初出展組でした。インクジェットプリントにより天然繊維中心に10mからの受注体制で、ネットでも販売しています。デザインはオリジナルで、「アパレル、資材メーカーに提案したい」と意気込んでいました。レインボーワールドも初出展です。「インクジェットによる両面プリントという最先端技術と天然草木染という昔ながらの技術。両極にある技術の提案」です。ハンカチ会社の染色加工場ですが、「コロナ禍では新規顧客開拓が必要」と出展し、多くの来場者が訪れていました。 ![]() アルテックスは4回目の出展でした。保湿力、潤い感に優れたアルガンオイルを生地に浸透させた「アルガンヴェール」などを出品しました。木曽川染絨は「婦人向けの受託加工がメインだが、草木染の自社ブランド販売にも着手。認知度向上を目的に出展」し、ニットだけでなく布帛の草木染も新たに出品しました。鈴木晒整理は「生活での利便性の提案」として、防汚性や汚れが落ちやすい商品を訴求。食事中や化粧での汚れに関する開発に取り組んでいます。山陽染工は使用済苛性ソーダの回収によって、使用量を大幅に減らしたことをアピール。また、水の使用量を減らす取り組みなど生産におけるサステナブル活動を報告しました。 カイハラは前回、企業としてのサステナブル活動を来場者にアピールしましたが、今回は「ニュースタンダード」として7番手を軸にしながら、緯糸にさまざまな糸を挿入する企画を提案しました。短納期、小ロットにも対応できる今時の工夫です。オールブルーは「コロナも落ち着いてきて前回よりも盛況」と感想を述べ、オーガニックやリサイクルコットンを打ち出していました。カバンやエプロン、シューズメーカーなどもブースを訪れています。 ![]() 麻絲商会は糸の表面だけ染め内部は白いままの洗いざらしたような表情感の「ル・ポワン染」を出品。サステナブル素材ではラミー、ヘンプ、キュプラ、テンセル、和紙なども扱います。「来場者が多い。海外品が入りにくい環境なので国内見直し機運がある」と語っていました。滋賀麻工業は地元の加工場の麻残布をカット・綿状にして、コットンと混紡したリサイクル糸を打ち出しました。リネン65%ヘンプ35%の素材も企画しました。「見て楽しくなるような色柄が好まれている」ようです。柴屋はパイナップル繊維を提案。「廃棄するパイナップルの葉が原料で、吸水性、通気性、速乾性がある」と説明していました。「ブースを訪れる人が多かった」という浅記はオーガニックコットンのムラ染めを出品しました。 シャンブレーは「コロナがひと段落すれば来場者はもっと増える」と期待しながら、オーガニックコットンやBCIコットンをアピール。同社は先染めに特化し、チェック柄や配色の提案にも力を入れています。有延商店は5年ぶりの出展で、リネンの先染めを中心にインドのパッチワークなどもそろえました。「今秋冬物を探す人もいた。コロナで中国縫製ができないためだろう」とも話していました。「諸々がコストアップしているが、いいものを探すバイヤーは必ずいる」という日本ホームスパンはオーガニックコットン、リサイクルナイロン・ポリエステルなどを使用した企画を打ち出しました。 ![]() コスモテキスタイルは「ミジュアル」を新たに提案。「カジュアルでも、きれいめなレディスよりの企画」です。「PTJは集客力がある」と述べる小松和テキスタイルは「展示会は継続出展することが重要」と指摘しました。会場では新入社員が説明するなど社員教育の場としても活用しています。東炊き(東京)、琴平炊き(香川)、織姫炊き(栃木)を紹介し、6月末くらいにネット販売を立ち上げる計画です。 スタイレム瀧定大阪17課は2回目の出展です。「前回はコロナ禍で来場者が少なかった。今回はコロナ明けの気分が一部にあり、期待」していました。備蓄機能やサステナブル素材をアピールし、アパレル以外に小物や帽子などの関係者も訪れたようです。グローブは「コロナ禍が続いたが、ようやく上向きの気配がある」と、オリジナルプリントを提案。素材も綿だけでなく、麻素材を投入しました。古山は「前回新規顧客を得られたので、2回目の出展」です。「素材で勝負。加工反を在庫販売」しており、太番手高密度の綿麻強撚馬布なども出品しました。オーガニックコットンのパノコトレーディングは生成りだけでなくカラー物もそろえて展開しました。 ![]() スタイルテックスは高密度撥水生地を提案しましたが、「カバンや帽子の顧客も増えてきた」ようです。日本写真印刷コミュニケーションズは5回目の出展となりました。「調色によってデザイナーのこだわりに合わせた服作りに協力できる」と意欲的です。古橋織布は「前回より人が多い。20単のムラ糸使いでビンテージ感のある素材」を提案しました。欧米メゾンに販売する国島は、日本よりにテーストをかえた「COBOスタンダード」を提案。後加工にも工夫を凝らしてラフな表情にしました。クロスジャパンはカットジャカードを主体にしましたが、「華やかで明るい色を求める顧客が多い」という反応でした。 エンブロイダリーレースを販売する溝呂木は「最近では一番来場者が多いのではないか」とコメントされました。「ここ1~2週間は店頭も動き出し、モノを作らないといけないという空気がある。若い世代のブランドほど戻りが早い。売り上げが急回復とならなくとも、企画は活気が出る」とみています。二渡レースは「黙して待っていてもしかたがない。2年ぶりに出展した。会場ではコロナ明けの雰囲気も感じられた」と、リサイクルコットンのレースなどを提案しました。シャルマン工芸は反物から裁断ものまであらゆる刺繍、レース加工に対応します。落合レースは「関西方面からのバイヤーが少し戻ってきた」と述べ、プリント生地に刺繍といった見え方の新しいものに反応があったようです。 ![]() コロナ明け? 色にも変化が 「織物長繊維」ゾーンではクレッシェンド・ヨネザワがラメを施したシルク綿に二重織を提案しました。夏物を意識し、薄地にプリントした麻素材も増やしています。「次回は武州織に挑戦したい」ようです。初出展のニッケグループは「Q48」シリーズを展開。中国・青島で生産した糸は、ウール30%、ポリエステル70%の48双糸を中心にして、ウオッシャブル、抗ピル性、耐久性を訴求。「中国内販向けから日欧にも広げたい。50色以上の糸を常備」しています。第一織物は軽量感のある中空糸タイプとナイロン細デニール素材を出品。これまで定番をリサイクル糸に置き換えてきました。 ![]() 宇仁繊維は備蓄機能による小ロット・短納期ニーズ対応、スピーディーな提案などをアピールしました。アセテートやリサイクルポリエステルなどのエコ素材もそろえましたが、「最近はビビットな色を選ぶ人が増えてきた」ようです。丸井織物は今回も「ノトクオリティ」を訴求。ストレッチやドライタッチの素材は再生ポリエステルです。畑岡/足羽工業所は「ソアロン」×「ロイカEF」の複合素材を展示し、「婦人アパレルの反応がいい」と語っていました。明林繊維は「まあまあの来場者。ジアセテートにこだわって出品」しました。 糸の音は4社による共同出展。その1社である川栄は「ジャカード機屋のサッカー」の提案です。齋栄織物は「団体の来場者はまだ来ないが、商談では前向きな話がでてきた」と手応えを得ました。松原はメンズ、レディスの垣根をなくし、ユニセックス向けを意識。UVカット、消臭、吸水速乾といった機能を盛り込んだ素材提案でした。ユー・ティー・ケーのブースは「3カ月前くらいから受注が増えている。今回も新規顧客、継続顧客が多く来場」と熱心に商談していました。 ![]() 「服飾資材、ニットファブリック、撚糸、パイルファブリック」ゾーンのノリタケは、「サステナブル関連素材はすでにベースになっている。今回は色に注目し、気分が盛り上がるようなカラーを選んだ」と、コロナ明けの色の変化を先取りしようとしていました。田村駒はリサイクルポリエステルの自社ブランド「C2C」を提案。トレースできる原料で織り編み30品番以上を展開しています。 ミナミはオリジナルな糸によるカットソーを提案しました。エコ素材ではオーガニックコットンや再生ポリエステルを展開しています。トーションレースの大定はエスニック調の「チロルレース」シリーズを出品しました。デザインも自社で行い、ストックしてある商品は数m単位での販売も行います。山政テキスタイルは「コロナ前の来場者にはまだ戻っていない感じだが、前回よりも確実に来場者は増えた」としていました。京都の後加工商品は「海外の顧客にとくに人気がある。早く海外からの来場者が増えてくれれば」と話していました。 龍田紡績はPLA繊維、落ち綿を原料にしたタツボースタンダードシリーズ、高級再生繊維シリーズなどサステナブル関連素材を訴求しました。吉田染工は「バナナクロス」繊維を提案。フィリピンからバナナ繊維を持ち込み、日本で紡績します。大量に廃棄されているバナナの茎を原料にしており、この原料を使用すれば「綿花の7割くらいの量の生産が可能」と、持続可能な生産を目指します。 ![]() 海外からは今回3社が出展しました。GRANTEXは今回、「中国からベトナムに生産シフトした」ことを伝えるために出展しました。「中国では年々染色加工場が少なくなってきた」ことなどが理由です。イタリアのThermore Japanはペットボトルを原料にした保温性のある中綿などを提案しました。「欧米ともにリサイクル綿に対する意識は高い。最近はアニマルフリーから羽毛布団にも厳しい目が注がれている」と語っていました。トルコのCALIK DENIMはストレッチ性がありながら、洗いによっての縮率を抑えた「E-LAST」を紹介しました。パターンの変更でも寸法を変えずに済むというものです。次回にはコロナ感染がしずまり、海外企業の出展が増えることを祈ります。 ![]() JFW Textile Online Salon <JTO> ![]() jfw-textile-online.com >>> ![]() ![]() 新型コロナウイルス感染症予防に関しまして、開催に向けて、行政機関などから情報収集を行い、最大の配慮をしながら、できる限りの感染症予防対策を講じてまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。 2022年11月:同時開催
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