JFW Textile News 一般社団法人日本ファッションウィーク推進機構 
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INDEX[1] Premium Textile Japan 2022 Spring/Summer 開催レポート -Part 2-


5月25日~26日に東京国際フォーラムで開催されましたPTJ2022SSの開催レポートPart2をお届けします。



日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催の「Premium Textile Japan (PTJ)2022Spring/Summer」が5月25日~26日の会期を終えて無事閉幕いたしました。「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう~」も開かれ、原料におけるサステイナブルについてパノコトレーディングの三保真吾取締役が、染色・加工におけるサステイナブルについて山陽染工の森原聰企画開発課長が講演されました。また、5月からスタートした「JFWテキスタイル・オンラインサロン」(JTO)も会場内で紹介しました。



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[会 期] 2021年5月25日(火)~26日(水)(10:00~18:30/18:00)

[会 場] 東京国際フォーラム ホールE-1

[主 催] 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)

[出展者数] 71件94小間(内 海外出展3社)

[来場者数] 4,132名 (2019年5月展 5,911名)



PTJ2022SSの開催レポートを2回に分けてお届けします。

Part 2

・「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう!~」

・JTOについて

Part 1(配信済み)

・出展者の声

・来場者の声


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INDEX[2] サステイナビリティを考える

Textile Workshop~日本の素材を学ぼう~



関連プログラムの「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう~」は、PTJ出展の産地企業人を講師に招き、寺子屋風に日本製素材や産地への認識などを深めてもらうのが目的です。繊維業界人となって間もない(職歴5年未満)アパレル・服飾雑貨メーカー、小売り、デザイナーメゾンなどの商品企画従事者を対象にしています。今回は「サステイナビリティ(持続可能性)」をテーマにしました。



□構成

第1部 基礎講座「日本の素材産地とは/繊維素材におけるサステイナブル入門」
第2部 「サステイナブル関連レクチャー」
25日〔原料におけるサステイナブル〕
26日〔染色・加工におけるサステイナブル〕
第3部 「テキスタイル合同展示会 来場のノウハウ/Q&A」
【講師】JFWテキスタイル事業コーディネーター 兼巻 豪氏



第1部「日本の素材産地とは/繊維素材におけるサステイナブル入門」SDGsで認識さらに
【講師】JFWテキスタイルコーディネーター:久山真弓 氏
Photo_JFWテキスタイルコーディネーター:久山真弓 氏

今回の基礎講座は、日本の主な繊維産地の紹介だけでなく、「繊維素材におけるサステイナブル入門」をテーマに加えました。


サステイナビリティとは、「持続可能性」を意味し、「人間活動や自然環境が多様性と生産性を失うことなく、長期的に継続できる能力」全般に対する概念を指します。この概念は1987年に開催された「環境と開発に関する世界委員会」において「持続可能な開発」が主課題に取り上げられたのが始まり。それ以降、1992年の「地球サミット」や「国連環境開発特別総会」でもサステイナビリティが重要視され、2002年には「持続可能な開発に関する世界首脳会議」が開催されました。


この概念の認知度を世界的にさらに引き上げたのが2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)です。持続可能性を取り入れながら、環境破壊や貧困などのあらゆる国際問題を解決しようとする考え方です。

今回、PTJ出展企業12社にサステイナビリティへの取り組みについてアンケート調査しましたが、全社がさまざまな形で活動に取り組んでいました。オーガニック、リサイクル原料の使用だけでなく、生産工程における環境配慮、トレーサビリティ、働く環境における労働安全衛生など重視しています。


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第2部 25日「原料におけるサステイナブル」レクチャー
環境と人権に配慮した有機栽培綿
【講師】株式会社パノコトレーディング 取締役 三保 真吾 氏
Photo_株式会社パノコトレーディング 取締役 三保 真吾 氏

パノコトレーディングは、1990年代初頭からオーガニックコットンの取り扱いを開始しました。同社の三保真吾取締役が「オーガニックコットン」について講演されました。


「有機農業の基準に則って栽培されている」「第三者認証機関の認証を受けている」。この2つの条件を満たしているのがオーガニックコットンです。「農産物のオーガニック認証」は、国の法律で規定されており、化学肥料を使わない、化学合成農薬を使用せず、遺伝子組み換え技術を使わないなど、自然との共生を重んじています。「繊維製品のオーガニック認証」は民間の団体が認証しており、トレーサビリティの確保、環境や人体に悪影響のある薬剤の制限、環境に悪影響を及ぼす排出物の規制のほか、健全な労働環境の提供や人権の保護といった社会規範も含みます。

一部の悪意のある事業者によってオーガニックコットンの証明書が偽造され、不正な原料が流通したこともありました。新疆綿の問題も国際的に指摘されています。信頼性の高い原料調達が重要です。


SDGsの17のゴールとオーガニックコットンとの関係を整理してみます。オーガニックコットンは「貧困をなくそう」の目標を達成できます。副産物の種子は家畜の飼料に使われ、綿実油として販売すれば食料購入の資金として「飢餓をゼロに」につながります。農薬を使わないため、農家とその家族を有害な化学物質から守り、「すべての人に健康と福祉を」提供。インドやアフリカなど途上国でも生産され「人や国の不平等をなくそう」へと進めます。


オーガニックコットンは環境と人権に配慮した持続可能かつ責任ある方法で生産されます。オーガニックコットンを選択することは環境、農家、従業員、消費者に健康をもたらし、「つくる責任つかう責任」を実現します。有機農業による健全な土壌は大気中の炭素を土中に固定し、「気候変動に具体的な対策」として有効です。オーガニックコットンの生産には国際的な協力関係が必要で、信頼関係に基づく長期的なパートナーシップがカギとなります。


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参加者は


「これまでぼんやり思っていたサステイナビリティという概念の認識が違っていた。改めて知ることができた」「オーガニックコットンと有機農業とのつながりがよくわかり、勉強になった」と、参加者は系統的に学ぶことができたことを喜んでおられました。「モノ作りをしているが、作る以上は社会的責任も重視したい。アパレルとして何ができるか、これから考えたい」と、一歩前に踏み出そうとする意欲を感じました。



講演を終えて、三保さんは

Photo_株式会社パノコトレーディング 取締役 三保 真吾 氏

モノ作りが好きで、素材としてのオーガニックコットンを知った。天然繊維のコットンにも抱える問題はある。オーガニックコットンで是正できる可能性があるなら、それぞれの立場で改善していけばいい。最近の若い人は環境教育を受けており、サステイナビリティについて一定の下地ができているように思う。Z世代にも影響力のある人が出てきた。メーカーにとってサステイナブルへの取り組みは必須になっていく。今後も社会正義の概念に触れていってほしい。




「染色・加工におけるサステイナブル」レクチャー
高い透明性を情報発信
【講師】山陽染工株式会社 企画開発課長 森原 聰 氏
Photo_山陽染工株式会社 企画開発課長 森原 聰 氏

ファッション生産国を自負するイタリアは、約20年前から素材、製造工程、製造現場環境におけるサステイナブル活動に取り組んでいます。テキスタイル業界ではオーガニック素材やリサイクル素材の開発のほか、省電力化、汚水処理・節水、環境汚染物質の排出低減、有害化学物質の使用削減なども進めています。

消費国のフランスは、SDGs達成度ランキングが世界4位。消費者のサステイナビリティに関する認識は高いといえます。資源循環と廃棄物の削減を目指した循環経済に関する法律が2020年2月に施行されました。世界で初めてアパレルの売れ残り商品の廃棄が禁止され、再利用やリサイクルなども義務化されました。


日本のSDGs達成度ランキングは世界17位です。ファッション業界でもサステイナブルやSDGsといったキーワードが登場していますが、具体的行動はまだこれからです。消費者の認知度も低い状況です。SDGsは流行語のように使われており、マーケティング戦略に使用される例もあります。


染色・加工業はエコテックス認証の取得や安全な対象製品の使用、ZDHC基準の順守など各種環境規制への対応を強化しています。排出ガスを大幅に削減する加工法の確立、環境負荷を軽減する新しい加工方法の開発、天然染料を使用した新たな染色方法、廃棄物を肥料として再利用するサーキュラーエコノミーの確立なども求められています。


デニム産地としてのクオリティ、技術力の高さ、付加価値、透明性の高さを国内外に情報発信することで産業を活性化し、持続可能な社会の実現を目指していきます。産地では素材選定から織、染色・加工における各段階で、すでに労働環境改善、環境負荷軽減や循環型社会への参画などに取り組んでいます。


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参加者は


聴講した参加者は「サステイナブルというとふんわりしたイメージだったが、具体的な話を聞くことができた」「染色加工場の生の話を聞くことができた」と、感想を述べました。アパレルの方は「自分たちの思っていることとフィットした。SDGsなど感度の高い消費者はすでに存在している。化粧品ではもうサステイナブルな商品を集積した売り場ができている」と語っておられました。



講演を終えて、森原さんは

Photo_山陽染工株式会社 企画開発課長 森原 聰 氏

皆さん、熱心に聞いておられた。欧州事情にも興味を持っていた。サステイナビリティやSDGsは風潮として知っていても、きちんと本質を理解していないと、絵に描いた餅になってしまう。これから会社で具体的なサステイナブル活動に取り組まれる方もおられるだろう。染色・加工の現場についてもご理解いただければと思い、レクチャーした。





INDEX[3] JFW Textile Online Salon <JTO>

JFWは5月13日からPTJのツールとして、オンライン展示会「JFWテキスタイル・オンラインサロン(JTO)」(https://jfw-textile-online.com)を開設しました。


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商談会開催において、事前の告知や事後のフォローアップが成約のカギとなります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、販売活動のための事前の移動や対面での商談のアポイントに制限が加えられています。これを補うために、出展者の取り扱う商品をデジタル化しプレゼンテーションするページを設けました。世界の主力テキスタイル展示会でも、デジタル化は加速しており、「e―ミラノウニカコネクト」、「マーケットプレイス・プルミエール・ヴィジョン」などがあります。


JTOによって出展者のアピールしたい最新のイチ押し素材と、素材に込められたストーリーを直接バイヤーに伝えることができます。顧客との接点が増え、ビジネスチャンスが広がるでしょう。出張・営業活動の時間と経費を抑制することも可能です。バイヤーはJTOを利用することで、商談会場に行く前、行った後でも、ほしいときにほしい情報を探すことができます。テキスタイルを手にとるような高解像度のビジュアルと素材の風合い評価による指標で、素材イメージがわかりやすくつかめます。検索機能によって、求める素材をスピーディに探せます。検索した素材を自身のライブラリーとして整理することで、商品企画のまとめにも活用できます。


PTJ2022春夏では65社の698点(うちサステイナブル素材231点)を掲載しています。PTJ2022秋冬の全出展者も予定しており、英語対応も追加する計画です。



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*PTJ2022S/S出展者の提案素材をご覧いただけます。

jfw-textile-online.com >>>




INDEX[4] JFWテキスタイル事業 今後のスケジュール Premium Textile Japan 2022 Autumn/Winter JFW JAPAN CREATION 2022


image_Premium Textile Japan 2022 Autumn/Winter JFW JAPAN CREATION 2022


新型コロナウイルス感染症予防に関しまして、開催に向けて、行政機関などから情報収集を行い、最大の配慮をしながら、できる限りの感染症予防対策を講じてまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。



2021年12月同時開催

会 期 : 2021年12月7日(火)10:00~18:30
              8日(水)10:00~18:00

会 場 : 東京国際フォーラム ホールE

主 催 : 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構


※出展エントリー受付は締め切りました 






INDEX[5] JFW事務局:移転のお知らせ

JFW事務局は、下記のとおり移転しました。


【移転先】

〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-6-10 Giraffaビル6F


Tel:03-6805-0791

Fax:03-6805-0793

E-mail:info@ptjapan.cominfo@japancreation.com


※Tel、Fax、E-mailは、変更ありません。



今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。






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