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![]() 日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW)主催の「Premium Textile Japan 2022Spring/Summer(PTJ2022SS)」が5月25~26日の2日間、東京・有楽町の東京国際フォーラム・ホールE-1で開催されました。昨年5月展は95件、124小間のエントリーでしたが、新型コロナウイルス感染の拡大で中止となりました。新型コロナ禍は続いています。東京都は緊急事態宣言下にありましたが、今回は71件、94小間の規模で開催しました。JFWでは国や東京都が決めたイベント開催規定よりも更に厳しい感染防止措置(最大滞留人を750人とし入場制限を実施し、看護師常駐など)を講じました。 今回、PTJとして20回目という節目を迎えました。国内最大のテキスタイル商談会としての期待に応えつつ、「JFWサステイナブル・プロジェクト」を進め、5月からスタートした「JFWテキスタイル・オンラインサロン」(JTO)も全面に打ち出しました。来場者数は4132人と、2019年5月展に比べて約30%減でしたが、内容の濃い商談を進めることができました。 ![]() [会 期] 2021年5月25日(火)~26日(水)(10:00~18:30/18:00) [会 場] 東京国際フォーラム ホールE-1 [主 催] 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構(JFW) [出展者数] 71件94小間(内 海外出展3社) [来場者数] 4,132名 (2019年5月展 5,911名) PTJ2022SSの開催レポートを2回に分けてお届けします。 Part 1 ・出展者の声 ・来場者の声 Part 2 ・「Textile Workshop~日本の素材を学ぼう!~」 ・JTOについて ![]() ![]() 出展者の声 ■出展者の声~新規顧客開拓ができた~ 「会社の取り組み。そして商品として。両面でサステイナブル(持続可能な)を訴求した」。「織物短繊維ゾーン」に出展したカイハラは、ソーラーパネル、LED化、高効率ボイラーなど、企業としてのサステイナブル活動を来場者にアピールしました。サステイナブル素材ではトルコのオーガニックコットンや、染色における水の使用量を20%削減した「E-Blue」を出品。精練剤を使用せずにインディゴ染色を実現しました。アウトドア・スポーツ分野向けには5オンスのデニムを提案。メッシュ調で色落ちしないのが特徴です。クロスジャパンは、「新規顧客開拓」を目的に出展しました。柄物のカットジャカードを中心にしています。クリスタルクロスは天然繊維を中心にレースやニット、プリントを出品しました。「緊急事態宣言などで店舗の休業もあり、春夏物の生産は抑えられた。それだけにバイヤーは次の売れ筋を探しに来ている。何を売っていくか、発信するかが重要なシーズン」と位置付けていました。同社はネットショップも立ち上げ、一般消費者への切り売りも検討しています。 ![]() 斎藤商店は婦人物のトリアセテート、天然繊維の先染め織物を中心に提案しました。オーガニックコットンとトリアセテートの複合はサステイナブル素材です。播はサステイナブル関連のエコテックスやOCS(オーガニック・コンテント・スタンダード)の認証を取得しています。素材面でもペーパーヤーン、草木染、再生繊維などを訴求したほか、リラクシングウエアも提案していました。同社は「100%別注で、機能、安心、安全性」を強みにしています。 カゲヤマのヤクウール10%・オーガニックコットン90%のフランネルは手洗いが可能です。在庫して着分対応していました。オーガニックコットンのドビーストライプも人気です。同社は4年ほど前から「インスタグラムで商品を紹介し、海外のお客さんからも発注を得た」そうです。 麻絲商会は糸の表面だけを染める「ル・ポロン染」や麻デニム、高密度麻織物などを打ち出しました。「百貨店ブランドが多いので、新型コロナ禍の影響を受けている。原料面でもラミーの価格は高いまま」の状態にあり、熱心に顧客獲得に注力していました。柴屋は再生ナイロンのタフタに塩縮加工を施した生地に、フッ素ゼロの撥水加工も付与しました。経糸オーガニックコットン、緯糸再生ナイロンのタイプライターなどのサステイナブル素材をそろえました。丸佐はこれまで自社展を開いてきましたが、新規顧客開拓のため2回目の出展でした。「コンバーティングからガーメントのOEMまで可能。流通も大きく変化しており、機動力を持って対応しなくては」と話していました。美濃和紙布、GRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証素材、リサイクルポリエステルなどを提案しました。 ![]() イチメンはオーガニックコットンやヘンプ素材を出品。「興味を持って見てもらえた」ようです。鈴木晒整理は衛生関連で「ボタニクール」「ボタニウィル」など天然の抗菌・抗ウイルス加工、冷感加工を提案したほか、布製品のための感染予防スプレー「ピュアクレール」も出品。オリジナルの艶コーティング加工なども訴求しました。 「初出展だが、新規顧客を開拓できた」というのはシャンブレー。天然繊維を中心に先染め織物を打ち出しました。中国に現地法人を有して、備蓄しています。1反からでも販売という小ロット・短納期の機能が好評でした。中国と日本の協力工場を活用し、婦人向けの服地やレースなどを展開しています。サンアルファーもPTJに初出展でした。ヘンプ・綿、綿・シルクの先染織物を出品し、「手応えがあった」と述べていました。尾州産地の国島は「来場者はいつもより少ないが、都内のバイヤーを中心にそれなりの商売ができそう」と、オーガニックコットン、オーガニックリネン、有松絞りなどを出品しました。最近は経糸にフィラメントを使ったハイブリッド企画も提案しており、「他産地との連携も強みになっている」と語っていました。 ![]() 織物長繊維ゾーンでは宇仁繊維が「予想したより来場者は多かった。アパレルだけでなく、小物を扱う業者も多かった」と評価しています。売れ筋の生地や新作生地をそろえたほか、小ロット・短納期対応をアピールしました。同社は4万5000点の生地を準備し、自社工場も持つメーカー型生地商社です。丸井織物は生地ブランド「NOTO QUALITY」を訴求しました。とくにストレッチ織物に焦点を当てました。また、速乾性(家庭洗濯・脱水後3時間で自然乾燥)、軽量(コピー用紙より軽いのに、その25倍以上の強度がある)、防風(高密度により冷たい空気の侵入を防ぐ)機能もアピールしました。 東レは今回、入り口から出口までを一方通行にすることで、感染防止対策をブース作りにも反映させました。使用済みペットボトルを原料にした「アンドプラス」などを展示しましたが、QRコードから専用サイトにつないで詳細を説明できる体制でした。 「いつもより来場者は少なかったが、本気で生地を探す人もいた」とは齋栄織物。シルクは一般衣料だけでなく、ルームウエアや寝具にも引き合いがあったとコメントしました。畑岡/足羽工業所は今回もブースに「SDGs(持続可能な開発目標)」のパネルを置きました。同社は再生ポリエステルを2015年くらいから使用し、米国のスポーツ系ブランドに好評のようです。製造工程でのエコも訴求しました。里村は1mから備蓄販売します。「昨年はマスクに関心が集まったが、今年は抗菌や抗ウイルス手袋に関心が集まった」ようです。山梨県の糸の音は、槙田商店、川栄、滝口織物、武藤の4社で出展しましたが、「思ったより来場者は多かった」という印象です。 ![]() 染色加工や刺繍・レースなどのゾーンでは日本写真印刷コミュニケーションズが「紙中心だったが、アパレル向けに用途を広げる」ために2回目の出展となりました。「昇華転写でも堅牢度に問題はない」と印刷品質の評価は高いと話していました。カジュアル化に対応したレースなどを提案した溝呂木は「想定以上に中身のある商談ができた」と語っていました。 今回初出展の木曽川染絨は草木染が特徴の自社ブランド「キソテキスタイル」の生地や製品を出品しました。商品や知名度アップが狙いです。植物染料100%の「ボタニックス」、ナチュラルダイとデジタルカラーを組み合わせた「ボタデジ」などを紹介しました。島浪捺染も初出展です。「抜染プリントは日本で数社しかできない」とアピールしました。兵庫県姫路市のレザーメーカーのヒライコーポレーションも初出展でしたが、「レザーの藍染」は来場者の関心を集めました。同じく初出展のナカハネインターナショナルは「思ったより来場者は少なかったが、新規顧客を得られそう」とコメントしました。 ![]() 服飾資材・ニットなどのゾーンでは、田村駒がポリエステル、ナイロン、コットンのリサイクルをアピール。「2回目の出展だが、サステイナブル素材を探す人が増えている」という印象を得ました。初出展の龍田紡績は綿100%で消臭・抗菌性のある「タツロンアルファ」を提案。「綿の風合いを保持しながら、洗濯耐久性が高い」とし、ポリ乳酸繊維紺のコットンも出品しました。カネマサ莫大小はスビンリサイクルオーガニックなどを出品。「コロナ禍でも会場に来ていただいた」と、熱心に説明していました。 海外企業ではThermore Japan(イタリア)がペットボトルを原料にした保温性のある中綿などを紹介。「世界的なコロナ禍だが、スポーツ分野はあまり影響を受けていない」と話していました。UNICON(韓国)は軽くて着心地の良いシルク100%のジャージーなどを出品。CALIK DENIM(トルコ)はリサイクルジーズ「Re/J」や染色工程で水を使わない「DYEPRO」を紹介しました。 ![]() ![]() 来場者の声 ■来場者の声~エコ素材が多かった~ 「22春夏に向けた風合いの良い、軽い素材を探しに来た。肌ざわり、加工に特徴のある生地があった」(アパレル)。会期中の東京では新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言が発令されていました。その中で、東京国際フォーラムを訪れたバイヤーの方々は、いつも以上に明確な目的意識を持って来場されました。 コロナ禍は出展者数にも影響を与えました。エントリーしていたが、途中で出展を辞退、リモート商談に切り替えた企業もありました。このため、「いつもに比べてコンパクト」(商社)という感想を述べられる来場者が多かったのも確かです。ただ、「もっといろんな生地を見たかった」(商社)という声がある一方で、「いつもより落ち着いて見ることができた」「例年より出展者は少なかったが、内容そのものは濃かった」(アパレル)と評価は分かれていました。「スモーキーで落ち着いた色が多かった。レースといったフェミニンなものや、サステイナブル素材も多かった」とコメントするデザイナーもおられました。 「エコ的な生地が多かった」(アパレル)、「サステイナブル素材に興味があってやって来た」(商社、アパレル)という来場者がいれば、「メンズアパレルなのでまだサステイナブルの潮流はなく、要望も少ない」(アパレル)という方もおられました。「レースを探しに来た。これだけ多くのレース見られるのはこの展示会だけ」(アパレル)というのも、PTJの特徴の一つでしょう。 ![]() ![]() JFWは5月13日からPTJのツールとして、オンライン展示会「JFWテキスタイル・オンラインサロン(JTO)」(https://jfw-textile-online.com)を開設しました。 ![]() *PTJ2022S/S出展者の提案素材65社・698点(うちサステイナブル素材231点)をご覧いただけます。 jfw-textile-online.com >>>![]() ![]() 新型コロナウイルス感染症予防に関しまして、開催に向けて、行政機関などから情報収集を行い、最大の配慮をしながら、できる限りの感染症予防対策を講じてまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。 2021年12月同時開催 会 期 : 2021年12月7日(火)10:00~18:30 会 場 : 東京国際フォーラム ホールE 主 催 : 一般社団法人日本ファッション・ウィーク推進機構 ※出展エントリー受付は締め切りました ![]() JFW事務局は、下記のとおり移転しました。 【移転先】 〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-6-10 Giraffaビル6F Tel:03-6805-0791 Fax:03-6805-0793 E-mail:info@ptjapan.com / info@japancreation.com ※Tel、Fax、E-mailは、変更ありません。 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 ![]() |
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