第2部(産地レクチャー)の百間谷社長は和歌山産地が1909年に始まり、吊り機から、両面機への移行、昨今はトータルファッション産業への脱皮、アパレルへの直販を始めていると紹介しました。カネマサ莫大小の「莫大小」は、「大小なし。伸び縮みするメリヤスの意味」と、豆知識も披露しています。
現在、和歌山は丸編ニット生地生産国内第1位。同産地で生産された確かな品質のニットを、「WA Knit made in WAKAYAMA, Japan」と認定しています。また、「和歌山産地は比較的元気な産地」で、若い世代が産地を担うようになってきたと話していました。「ニットにはフォローの風が吹いている」とも述べ、織物と違って経糸整経の工程がなく短納期化が図れる、布帛のようなジャージーのセットアップが市場で人気と説明しました。
同社はハイゲージ・高密度に注力し、独自開発機械で海外から評価されています。テキスタイル事業では、糸や加工も別注にこだわった風合いを重視し、特注の機械で世の中にないものを作り出すことに専念しています。「いい生地を作るため、あえてオーバースペックの機械を装備」しています。最近はスーパーファインゲージ(36~44G)のシングルジャカードに特化しており、オリジナルの糸を常に開発しています。
販路は大手コンバーターだけでなく、国内外の有名アパレルと直接取引も行い、バイオーダーでの小ロット対応と短納期を実現。年2回のプルミエール・ヴィジョン、ミラノ・ウニカを中心にコレクションを発表し、独創性を訴求しています。
「世の中はファストファッションが力を持ち、アパレルが苦戦している。しかし、モノ作りをしっかり行うアパレルは元気がある。安い生地を使っても売れない。オリジナルの生地で差別化を図ることが大事」、「多くの人にもっと産地を知ってもらいたい」と語りました。
受講者は「いいモノ作りに挑戦しようというメッセージが伝わってきた」「技術の説明も良かったが、若者に向けた社長のメッセージが直接聞けて良かった」「新しいモノ作りの話は共感できた」とコメントしていました。 |